花の魔女


「ラディアン!ジェイク!フィオーレが!!」


家に戻ったナーベルは、大声でラディアンとジェイクの助けを求めた。


剣の稽古をしていた二人は、ナーベルのただごとならぬ声に剣を放り出し、ナーベルのもとへ急いだ。

見れば、フィオーレがナーベルの肩にもたれてぐったりとしている。

ジェイクは急いでフィオーレを抱き抱え、自分の部屋へ連れていった。


「どうしよう。私のせいよ。私がもっと早くフィオーレの異変に気づいていれば……」


心配で顔を歪ませて震えるナーベルを、ラディアンはそっと抱きしめた。


「ナーベルのせいじゃない。これは仕方のないことなんだ」


ラディアンはナーベルを落ち着かせるように言うと、ナーベルは顔を上げ、ラディアンを見つめる。


諭すようにラディアンが続けた。


「フィオーレは花の精霊だ。花は冬が近づくにつれ枯れてしまう。必然的にフィオーレはあまり動くことができなくなってしまうんだよ」


< 59 / 244 >

この作品をシェア

pagetop