花の魔女

それからは、ナーベルは今までになく修行に専念した。

ジェイクも真剣に教えてくれ、ナーベルは短い期間でいくつもの課題をクリアした。



全てはラディアンを助けたい一心で。




そんなある日のこと。


いつも通り泉に向かっていると、木の下に何かがうずくまっっていることにナーベルは気づいた。


はじめは雪が溶けて枯れ葉が出てきているのかと思ったが、近づいてよく見てみると、それは小さなリスだった。


「大変だわ」


リスはぐったりとして倒れている。

ナーベルがあわてて手で包み込むと、たいへん衰弱しきっていた。


「どうしたんだ」


後ろから追いついてきたジェイクがナーベルの手元をひょいと覗き込んでくると、ナーベルはジェイクにリスを持たせた。


「おわっ、俺に持たすなよ」


リスのあまりの小ささにおろおろするジェイクにはお構いなしに、ナーベルは邪魔な服の長い袖を捲りあげた。


「ちゃんと持っていてよ。今からこの子の治療をするんだから」


そう言ってジェイクの手のひらに身を横たえている小さなリスにそっと手を乗せ、生気を送り込む。

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