~秘メゴト~
「食べないの?」
うだうだと考え込みながら、フォークでポテトサラダをいじいじつんつんやっていた私に、不意に先輩が問うた。
「た 食べます。いただきます」
胡瓜とポテトを掬ってもそもそ口へと運ぶ。
好きな人を前にして食事するのって、もの凄く緊張するのね。これも初めての経験だわ。
もう味なんか全然わかんない。
「他に何か料理できるの?」
「え? うーん…取り敢えず普通の家庭料理は一通り何とか作れると思いますけど」
「おっすげー!」
「母がウルサイんです。男の人を捕まえるにはまず胃袋から!って」
「それは正しいな」
先輩は頬杖をつきながら小さく二度頷いて、お茶のグラスを煽った。
「母は昔、お味噌汁が作れないからって理由で彼氏にフラれたことがあるそうで」
「ははっ 冷たいな、それ」
前髪を揺らしてちょっと俯いて笑う、私の好きな先輩の仕草。
間近で、しかも先輩の家で、二人で笑い合えるなんて信じられないくらい幸せ。
「だから母は、私は二の舞にならないようにって、小さい頃からお料理させるんですよ」
「ふーん。役に立ってるじゃん」
「ええ? でも私、未だに彼氏の一人も……」
できないんですけど。
つい、そう言い掛けて押し黙ってしまった。
先輩は『彼氏』じゃない。
別に変なことは云っていない。
けれど。
何故か、一瞬この場の空気が変わった気がしたから。
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うだうだと考え込みながら、フォークでポテトサラダをいじいじつんつんやっていた私に、不意に先輩が問うた。
「た 食べます。いただきます」
胡瓜とポテトを掬ってもそもそ口へと運ぶ。
好きな人を前にして食事するのって、もの凄く緊張するのね。これも初めての経験だわ。
もう味なんか全然わかんない。
「他に何か料理できるの?」
「え? うーん…取り敢えず普通の家庭料理は一通り何とか作れると思いますけど」
「おっすげー!」
「母がウルサイんです。男の人を捕まえるにはまず胃袋から!って」
「それは正しいな」
先輩は頬杖をつきながら小さく二度頷いて、お茶のグラスを煽った。
「母は昔、お味噌汁が作れないからって理由で彼氏にフラれたことがあるそうで」
「ははっ 冷たいな、それ」
前髪を揺らしてちょっと俯いて笑う、私の好きな先輩の仕草。
間近で、しかも先輩の家で、二人で笑い合えるなんて信じられないくらい幸せ。
「だから母は、私は二の舞にならないようにって、小さい頃からお料理させるんですよ」
「ふーん。役に立ってるじゃん」
「ええ? でも私、未だに彼氏の一人も……」
できないんですけど。
つい、そう言い掛けて押し黙ってしまった。
先輩は『彼氏』じゃない。
別に変なことは云っていない。
けれど。
何故か、一瞬この場の空気が変わった気がしたから。
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