~秘メゴト~
「有は、本気なんだろ?」

 不意に亀田に肩を掴まれ、有ははっとして我に還った。


「だってさ、姫乃ちゃんの扱い方が違うもんな。教室まで迎えに行ったり、家まで送ったりしてるんだろ?」


 亀田はくっくっと咽の奥で笑う。


「オレさ、おまえのことは小学校から知ってるけど、女の子にそういうことしてやるの、初めてだもんな?」

「……」

「有はモテまくってんのに、あんまり彼女作らないだろ。元カノって松本くらいだっけ?」

「…面倒臭いんだよ。あれこれ考えてやるのも、干渉されんのも」

「そう、それそれ。面倒臭がりな上に、自分の時間を大切にしたいし、自由でいたいタイプ」

「悪いかよ」

「女の子にはね。冷たくて厄介な奴だと思うよ。実際、松本はよくキレてたし」

「知るか」


 そう云って視線を本に戻した有の手から、亀田は本を引ったくり、机の上に座る自分の尻の下に敷いた。


「おいっ何処で踏んで」

「オレは真剣に話してんの!」


 きっと睨まれ、有は言葉に詰まってしまった。


「女の子に冷たい有がああまでしてるんだから、姫乃ちゃんとのこと、本気なんだよな?」

「……」

「返答次第ではぶん殴る」

 亀田は細めの眼を更に細めて、顎を上げて有を睨んだ。


「なんで、姫乃とのことにそこまでこだわるんだよ」

「いいから吐け!」


 有は細く、しかし深く深く息を吐いた。


「……大切にしたい、と思ってるよ」




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