軌跡
そして迎えた十一月二十日、いつもより一時間早くバイトを切り上げた睦也は、恵比寿駅で優がやってくるのを待っていた。時間は待ち合わせの六時五分前、改札から吐き出されてくる人々の中から、その姿を探していた。
「ごめん、遅れちゃって。あがる直前にお客さんに捉っちゃって」
優がやってきたのは、約束から十分以上過ぎてからだった。いつもなら、連絡の一つでもしろ、と注意をするが、今日は大目にみることにした。
優の手を取ると、さっそく目的の場所に向かい歩き出した。「どこに行くの?」という質問に笑顔で返すだけで、どことは答えなかった。
そして歩くこと三・四分、目的の場所に着いた。三階建ての雑居ビルの、一階に設けられたレストラン。外装は黒を基調としており、入口にはブルーライトが灯っていた。ワインとちょっとしたイタリア料理の楽しめる店だ。
扉を開けると、一人のウェイターが近づいてきた。
「予約をしておいた、神宮睦也です」
お待ちしておりました、彼はそう言い、二人を奥に導いた。
「ごめん、遅れちゃって。あがる直前にお客さんに捉っちゃって」
優がやってきたのは、約束から十分以上過ぎてからだった。いつもなら、連絡の一つでもしろ、と注意をするが、今日は大目にみることにした。
優の手を取ると、さっそく目的の場所に向かい歩き出した。「どこに行くの?」という質問に笑顔で返すだけで、どことは答えなかった。
そして歩くこと三・四分、目的の場所に着いた。三階建ての雑居ビルの、一階に設けられたレストラン。外装は黒を基調としており、入口にはブルーライトが灯っていた。ワインとちょっとしたイタリア料理の楽しめる店だ。
扉を開けると、一人のウェイターが近づいてきた。
「予約をしておいた、神宮睦也です」
お待ちしておりました、彼はそう言い、二人を奥に導いた。