軌跡
「まだ、小学校五年生のときだった。ある朝目覚めると、お母さんが大きなバッグを抱えて玄関にいたの。どこに行くの? って聞いたら、ちょっと旅行に行く、って。私も一緒に連れてって、そう言うと、すぐ帰って来るからお父さんとお留守番しててね、って。……でも、三日経っても一週間経っても、お母さんは帰って来なかった。お父さんにそのことを聞くと、お父さんとお母さんは離婚したんだ、そう言われた。幼心にも離婚の意味は分かってたし、もう二度とお母さんとは会えないことも……。それなのに、それなのにね、一ヶ月くらいしたら、急にお母さんが戻って来たの。嬉しかったよ。これでまた親子三人、仲良く暮らせるんだ、そう思って」
一息にそこまで語ると、二・三度大きく呼吸を整え、続けた。
一息にそこまで語ると、二・三度大きく呼吸を整え、続けた。