先生
「ホント、すみませんでした。」


一瞬だけ俺を見たけど、直ぐにまた視線をそらした。


「いえ。何とも無くて良かったですね。」


ぎこちなく俺達は、一言だけ言葉を交わした。


「どうした?」


恭子の旦那らしき人が駆け寄ってきた。

俺とは違う、物腰の低い優しそうな人。

フワッと笑って、旦那と話しをする。


俺がしてやれなかった事を、この男が彼女に与えてる。


そして恭子もまた、その愛に包まれて
幸せに毎日を生きてる。


「それじゃあ。」


二人が頭を下げて、歩き出した。



恭子……幸せでいてくれて良かった。


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