先生
「…続きは…花火が終わってからな?」

少し乱れた先生の呼吸が伝わってくる。

私も乱れた呼吸を、ゆっくり落ち着けた。


辺りはすっかり暗くなった時だった。


夜空に一際輝く花火の光りが見えた。


「外に出るか?」


車のドアを開けると生温い風が吹いた。

連続して上がる花火が私達を照らす。


「綺麗だね、龍一さん。」


「ああ。」


グイッと私の腰を引き寄せた。


隙間ない位に密着した肌に、また私の心臓が騒ぐ。


そんな私の気持ちとは裏腹に、色とりどりの花火が上がっては消えていく。


ねぇ…先生。


今日ここで先生と見た花火…


忘れないよ?


ずっと…


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