偽りの結婚
「大丈夫…それより、グレイク侯爵が呼んでるわよ。行ってきて」
一際賑わっている集団の中から、初老の男性がラルフに手を振っている。
「あぁ…じゃぁ行ってくるが、無理はしないで休んでおいで」
「えぇ、そうします」
添えていた手を放し、グレイク侯爵の元へ向かうラルフを見送る。
一人になった途端、ラルフはあっという間に女性に囲まれた。
「ごきげんよう、ラルフ様」
「今日の夜は空いてらっしゃいますか?」
一応妃である私の前で、あからさまに色目を使う令嬢たち。
その体には煌びやかな宝石や胸のあいたドレスを身につけ、ラルフの興味を引き付けるのに必死だ。
「すまないね、今日は予定があるんだ」
当人はと言うと、爽やかな笑顔でスラリとかわしている。