偽りの結婚




なっ、なんで目を逸らすのよ…

貴方は別に後ろめたいことなんてしていないのよ…

むしろ二人を後押しする、誇らしいことをしたんだから、胸を張って見送らなきゃ。




しかし、心の中ではそう思っていても一向に顔を上げられず俯いていると、こちらへ歩を進める音を聞く。



まさか…と思って顔を上げると、目の前にはラルフがいた。




……っ!!



「体が冷えるだろう、これを着なさい」


そう言って、自分が羽織っていたマントで私の体を覆うラルフ。

ずっしりと重い深い藍色のマントに少しよろけてしまう。


重い…けど、とっても温かい……




「ありがとう…ございます……」


外に出て冷えていた体がマントに残っていたラルフの体温を感じて、だんだんと熱を取り戻していくのが分かった。

私の頬に赤みが戻ってきたのを見計らって、ラルフは口を開く。



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