偽りの結婚



会場は壇上の上に王家の席、ダンスフロアを挟み公爵家、侯爵家、伯爵家、子爵家、男爵家と、爵位の高い家柄から王家に近い席が設けられていた。

伯爵家であるスターン家はちょうど真ん中のあたりだったが、王家の席からは随分と離れている。

自分の国の王子の顔を一目でも見たかったが、それも叶いそうになかった。




まぁ良いのだけど……

どうせ国王の勅命だから来ただけなのだから。

早くも帰りたいわ…と思いながらも舞踏会が始まるその時を待った。






全ての貴賓席が埋まり皆が席に着くと、会場の照明が薄暗くなった。


舞踏会の始まりを告げるファンファーレが鳴り響き、壇上の奥から国王と王妃、続いてラルフ王子が出てくる。


ラルフ王子が出てきた瞬間どっと沸く会場内。



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