偽りの結婚
アリアもまた、私が自分の前でしか涙を流せないことを分かっていたので、私の涙が引くまで存分に涙を流させる。
「こんなに体が冷えて…どれだけ外で待っていたの?」
アリアは私を抱きしめた時に感じた体温に驚いていた。
ショールを羽織っていたはずなのにこんなにも体温が低いのはきっと、長い時間外にいたからで。
ミランダとイリアに屋敷から締め出された後にも、彼女らを信じて扉の前で待っていたからであろう事が容易に想像できた。
「シェイリーンさえ良ければ、いくらでもうちに泊って。もともと、シェイリーンはノルマン家の家族のようなものだし。お兄様やウィリオットも喜ぶわ」
パァっといつものような明るい笑顔で歓迎するアリア。
そんな太陽のような笑顔に少し俯き加減だった気分が晴れる。
「ありがとう…アリア」
やっと見せた私の笑顔は涙で濡れていたが、心の底からの笑顔だった。
そして、アリアの両親には事情をかいつまんで話し、私はノルマン家にしばらくお世話になることになった。