偽りの結婚




「だったら、なぜすぐに離婚させなかったのですか?」


そう、そもそもあの舞踏会は自分の婚約者を決めるための舞踏会だった。

その背景にはエドワードとリエナの「早く孫が見たい」という陰謀があったわけで。

それは、いい歳してフラフラと遊びまわっていた自分が悪いのだが…



だから、偽りの妃と知ったリエナがシェイリーンと別れさせなかったのが不思議だった。

一時的な関係の二人が子供をつくろうなどとは考えないのが普通だ。

リエナとしては、早く孫の顔が見たいから舞踏会を開いたわけで。

前から偽りの関係を見抜いていたなら、なぜ離婚させられなかったのかが不思議だった。




そんなラルフの疑問の言葉に、リエナは先程の厳しい表情とは一転。

ふわりと嬉しそうな微笑みを見せながら話しだす。




「貴方が自分から紹介した人だったからよ。偽りでもなんでも立てようと思えば誰でも立てられたのに、貴方は傍に置くのを嫌がってきた。そんな貴方が、シェイリーンさんを連れてきたものだから興味がわいたの」

確かに、王宮に連れてきたのはシェイリーンが初めてだった。



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