偽りの結婚



「ラルフ。」

鈴が鳴るような声で、自分の名を呼ばれた。


「ソフィア?」

振り向くと、鮮やかなブルーのドレスに身を包んだソフィアが近づいてくる。

指定のドレスを着ていないのは、恋人がいるという意味を指すことを彼女は知っているのだろうか。


まぁ、あながち間違ってはいないんだが・・・



「どうしてここに?」

訝しげな表情でソフィアに問う。


招待したつもりはないが・・・



「エドワード様とリエナ様に招待されたのよ。」


余計なことを・・・

別にソフィアが舞踏会に来るのは良い。

けれど、それは今日でない時の話だ。


もし、シェイリーンが誤解したらどうしてくれるんだ・・・



「説明している暇がないが、今はマズイんだ、ソフィア。」

内心ヒヤヒヤとしながら、手短に話すラルフ。



「シェイリーンさんがいるから?」

ソフィアは冷ややかな目を向けて言う。




< 528 / 561 >

この作品をシェア

pagetop