偽りの結婚
3章 偽装生活

王家の習わし




―――舞踏会から一週間後


王子と妃にあてがわれた部屋にポツンとたたずみ、一週間を振り返る。

あの夜、密約が交わされた私たちが舞踏会の会場に二人で戻った時は大騒ぎだった。

舞踏会から抜け出した王子が、女を連れて戻ってきたとなれば当然よね。


しかも、王子がその女を妃にすると言った時など、悲鳴を上げて倒れる者もいたくらいだ。

その中には、ミランダやイリア、アリアもいて。

同様に驚いた顔をしていたけど、詳しいことを話せず仕舞いで今に至る。



それに、会ってなんて言えばいいのよ…詳しい話なんて出来るはずがないわ。

アリアはともかく、イリアは王子の事が好きだったのに、偽りの結婚と言っても聞く耳を持ってくれそうにない。

きっと今度こそ嫌われたわ。

次に家に戻った時にまだ私を受け入れてくれるかしら。

ラルフと離婚したときの事を考えて、一人王宮の自室で暗く沈む。




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