偽りの結婚



「それで、お母様…私に用事とは何なのでしょうか」


お母様と呼ぶことにまだ躊躇いを感じながら、本来の目的を果たすために話を進める。




「そうだわ!今日は貴方の身の回りの世話をさせる侍女を付けようと思って呼んだのよ」


胸の前で両手を合わせながらリエナも私を部屋に呼んだ理由を忘れていた様うに呟く。




「身の回りの世話…ですか?」

「そうよ、王家では身の回りの世話をする人間を付けるのが習わしなの。ラルフにもロイドが付き添っているでしょう?」


お世話係なんて、なんとも王家らしい習わしだ。

ラルフは幼少の頃からロイドと言う側近がついており、四六時中ラルフに付き従っている。

習わしなので仕方ないと思いながらも、お世話をしてくれる人が付くという習慣に、改めて世界の違いを認識する。





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