偽りの結婚
思えば、リエナにも同じようなことを言われた覚えがある。
二人に同じことを言われるとは、エドワードとリエナが私に大きな期待を寄せていることが伝わってくるようだ。
どれだけ両親を心配させたら気が済むのよ。
これじゃ結婚して落ち着いてもらいたいという国王と王妃が婚約者をもうけた理由もわかるわ。
こんな状況を招いたのも自業自得じゃない。
親不孝者で、女癖の悪いラルフに眉をしかめていると…
「あなた、シェイリーンさんの前でラルフの昔の女性関係なんて話してはシェイリーンさんが不安になるわ」
優しいリエナは私がラルフの女性関係の話で心を痛めていると思ったらしい。
「あぁ…そうだったな、すまなかった」
エドワードも焦ったようにラルフの話を止める。
「いいえ、大丈夫ですから…心配なさらず」
どこまでも私の気持ちを考えてくれるエドワードとリエナに、騙しているこちらの方が申し訳ない気持ちになる。
「さて、こんな可愛い奥さんを放って遊びに出ているラルフの話なんておしまいにして食事にしましょう。せっかくのお料理が冷めてしまうわ」
テーブルの上にのった色鮮やかな料理を前に、私も食欲がわいてくる。
その日の夜はラルフ抜きでの晩餐だった。