偽りの結婚



「シェイリーンさん。どうかラルフを見放さないでやっておくれ」


黙ってしまった私を見て図星だったのかと思ったエドワードがリエナに続いてそんなことを言い出す。




「そんな…見放すなんて……」

「親としてこんなことを言うのは恥ずかしいのだが、あの子は子供の頃から成績優秀で、王家直属の騎士団の団長を務めあげるほど武術にも長けている。それであの容姿となれば、昔からラルフに好意を寄せる女性が多くいた」


確かに、実際に一緒に生活するようになってラルフの優秀さには私も驚いていた。

学問においては学者が驚くほど優秀な成績を修め、剣術や馬術なども類稀なる才覚があり、まさに文武両道といったところだ。

多くの令嬢から好意を寄せられるのも少し分かる気がする。



「けれどね、多くの女性から好意を寄せられてもラルフは一人の女性と長く続くことはなかった。…だから、シェイリーンさんとの結婚の事を聞いた時は驚いたのだよ」


どこかで聞いたことのあるような台詞だった。


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