Parting tears
 自宅に帰り、ヒップホップを聴きながらマンガを読んでいると携帯が鳴った。
 もしかして大輔かなとうんざりしながらディスプレイを見ると、和哉からだったのである。

 私の心臓は鼓動を速め、ドキドキしながら通話ボタンを押した。


「あ、結麻ちゃん?」


「か、和哉君? 久しぶり。ドライブ以来だね。どうした? 暇なんでしょう?」


 私は緊張すると早口になり、どうでもいいことを夢中で云ってしまうところがある。それは今でも変わらない。


「えっと、携帯番号訊いたから、掛けてみたんだ」


「そっかそっか。私も美久から訊いたよ」


「そうなんだ。訊いてから、何だか、なかなか掛け辛くて勇気いったよ」


 だから美久に番号を訊いても、なかなか掛けてこなかったのか。ようやく納得した。きっと和哉は照れ屋なのかもしれない。
 そんな想像をしていると、和哉が思いがけないことを云った。


「結麻ちゃん、さっき云ってたけど、俺暇だよ。結麻ちゃんは?」


「うん。私も暇だよ」


 そこで少し間があったので、沈黙に焦った私は何か話そうと必死に考えていた。
 すると、和哉が思いがけないことを云った。


「会わない?」


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