Parting tears
 遠くから和哉の姿が見えてきた頃、和哉は自宅前で待っていてくれたようだった。

 そして私は駆け寄ると思い切り抱きついたのだ。お互い言葉はなかったが、抱きしめる力強さに安心したのを覚えている。

 そして和哉の部屋に行き、色々な話しをした。


「和哉と出逢った頃は十八歳だったんだよね。もう二十一歳だよ。あっという間だね」


「そうだな。結麻と始めて出逢った時のことは一生忘れないだろうなぁ」


「私もきっと忘れない。手紙もたくさん交換したね」


「俺全部取ってあるよ。結麻からのプレゼントもさ」


 そう云って、和哉はタンスから箱を取り出すと、私の目の前に置いた。大事そうに箱を開くと、私が書いた手紙がたくさん入っていたのである。


「これからもっと増えるかなぁ」


「もちろん」


 私と和哉は久しぶりに笑い合った気がする。改めて和哉の端整な笑顔を見ると、隠しごとをしている罪悪感が私を襲う。


「もう少ししたら、始めてキスした場所に行こうか。二人で寝転んで獅子座流星群を見よう」


 そして外は寒いので和哉の上着を借り、手を繋いで河川敷へ向かった。

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