Parting tears
第十三話 天国から地獄
 獅子座流星群を見た後、和哉は私を家まで送ると云い、手を繋ぎ歩き出した。

 内心、もうこんなに遅い時間だし、家の前で武山が待ち伏せなんてことはないだろうと、私は深く考えていなかった。それが大きな間違いだったことに気付かずに。

 河川敷から和哉の家を通り越し、高山台公園がある。それを通り越すと私の家なのだ。

 それは丁度、和哉の家と高山台公園の間くらいで突然後ろから名前を呼ばれた。


「結麻! 俺との約束断って、他の男といたのかよ!」


 振り返った私が目にしたのは、息を切らしている武山だった。私を探し回っていたのだろうか。名前を呼び捨てにするだけではなく、勝手に約束してただなんて嘘をいう。武山の誘いは断ったのに、どんな権利があってこんなこと云うのだろう。私は心底腹が立った。


「勝手に決めないで下さい! 私は約束した覚えなんてありません」


 すると和哉は、わけがわからないというような顔を私と武山、交互に向けている。そして端整な顔を歪めて私に訊いたのだ。


「結麻、どういうことなの?」


「私はこの人と関係ないから。行こう」


 そう云ったのだが、和哉は行こうとしなかった。それどころか武山の方に身体を向け、震える声で訊いたのである。


「結麻とどういう関係なんですか?」


「俺の女に決まってるだろ。行こう結麻」


 何を抜け抜けと、よくもそんな嘘が云えるものだと思った。


「違う! 和哉、私本当にこの人と関係ないよ!」


 私は必死で和哉にそう云ったのだが、和哉は武山の堂々とした物言いを信じそうになっているように見えた。悔しくて仕方なかったのと、武山に対し、物凄く憎しみを覚えた。

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