Parting tears
 和哉の一言で、私は頭に血が上った。違うと云っても信じて貰えない悔しさや、武山に対する怒りで、パニックになっていたのかもしれない。

 そして、私は取り返しのつかない嘘を吐いてしまったのだ。


「そうだよ」


「やっぱり。俺は結麻だけを愛してきたのに、最低だな」


 それから数時間、私は和哉に責められた。本当は違うのに「やっぱり」という和哉のセリフや、私の話しより武山の話しを信じたことは、私を信じていなかった何よりの証拠だった。そう思うと、和哉の責める言葉を、私は呆然と聞くしか出来なかった。


 その後、私の日記を見せろと云われ、絶望感の中、取りに向かった。和哉は家の前で待ち構えており、日記には特に対したことを書いてあったわけではないので、見せても何も問題はない。ただ、和哉の気が済むのであれば……。


 獅子座流星群の夜からは地獄のような日々が続いた。

 和哉は仕事を辞め、私を監視する日々を送り始めたのである。私の行動全てを和哉が監視し、友達との外出も制限された。そして、お風呂に入った後、誰かと電話した後などメールで全て報告するように云われた。それでも私は、和哉を好きな気持ちは失わなかった。サッカーをしていたことを、隠していた負い目もあり、疑われても仕方なかったのかもしれないと思ったからだろう。

 けれども、信じて貰えなかったことから、私もそんな和哉を疑い始めていた。

 和哉がこんなに私を信じないのは、裏で美久に云われているからなのではないか? そして、本当は美久とも関係があるのではないか? だから時々、和哉は携帯や自宅の電話に出なかったのかもしれないと。

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