Parting tears
エピローグ
 和哉と最後に会ってから半年後くらいに、私は今の夫である龍揮に出逢った。

 始めて会った時、私は和哉ではないかと驚いたものだ。暗がりだったので、本人に見えただけなのだが。しかし大きな目に高い鼻、そんな部分が似ている。後は似ていない。夫は色黒で、髪も黒く短いのだから。そして歳も違う。私の二つ下で、会社員をしている。
 
 私は和哉と別れてから、何人も彼氏がいたけれど、いつも和哉と比べ結局長続きしなかった。最後に和哉が云っていたように私も忘れられなかったのだ。

 しかし龍揮と出逢い、何でも口に出すようになった。和哉のことが忘れられないことも話した。『そのうち嫌でも忘れるだろ。歳取っていくんだから』そう云って笑い飛ばしてくれた。だから私は、悪い話しや良い話しまで、云い辛いこともぶつけるようになったのだ。

 龍揮はどちらかというと無口な方だが、思いやりは人一倍ある。そして龍揮を信じられない時があれば、どうして信じられないのかまで話すし、何より龍揮は、今までの私を知っても全く動じず、心底信頼してくれる。信じて貰える喜びを知り、信じようとする気持ちを持たせてくれたのは龍揮のお陰だ。

 そんな龍揮と私は結婚することにしたのである。

 この人となら、信じ合うことも、誰かに邪魔されても壊されないという自信もあった。例え疑って喧嘩になったとしても、何度でも信じることが出来るんじゃないかと思う。

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