午前0時のシンデレラ

*‥‥‥‥‥


カラン、と小さな鈴の音が響く。


「あ、咲良さん。いらっしゃい」


柔らかく微笑んだ泉さんを見て、あたしの胸は正直にズキンと痛んだ。


それでもあたしは、泉さんを真っ直ぐに見つめる。


「…泉さん」


「うん?」


あたしは昨日、柳に勇気を貰ったの。


バカで浅はかなあたしの行動を、柳は一蹴してくれた。



―――『アホだな、お前。そんなに好きなら、真っ正面からぶつかってこいよ』



泣き終えたあたしが、柳に理由を説明すると、開口一番にこう言われた。


悔しかったけど、その通りだった。


…だから、昨日諦めた言葉を言いに、あたしは再び泉さんに会いに来た。





「―――あたし、泉さんが好きです」





ずっとずっと、言えなかった気持ち。


不思議と、ハッキリと言うことができた。


「え…?」


目を丸くした泉さんを見て、あたしは心の中で苦笑した。


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