午前0時のシンデレラ

そのあと、絶叫という絶叫マシンを全て乗り倒した。


あたしが悲鳴をあげすぎて疲れてきたころ、柳は完全に参っていた。


「…少し休憩しよっか?」


「言われなくてもそうする」


ぐったりと肩を落としながら、柳はベンチへ近付く。


すると急に立ち止まり、振り返った。


「ちょっと待ってろ」


「へ?ちょっ…、柳!」


柳はあたしをベンチに座らせると、どこかへ駆け出して言った。


「何なのよ、もう」

あたしはその背中に文句を言うと、視線を辺りに巡らせた。


小さな音楽隊が演奏している姿が目に入り、思わず笑みを零す。


…そのとき。



「―――ひゃあっ!」



急に右頬に冷たいものが当たり、あたしは思わず飛び退いた。


驚いて目を丸くするあたしに、笑い声が振ってくる。


「…くくっ…驚きすぎだろ」


「柳!何すんのよ!」


そこには、缶ジュースを両手に持った柳が立っていた。


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