午前0時のシンデレラ

つまり、あたしの右頬に当たったのは缶ジュース。


にしても、この男は…!


「~いつまで笑ってんのよっ!」


あたしがキッと睨むと、柳は肩を揺らしながら「ごめんごめん」と謝った。


「だいたいねぇ、普通に渡せばいいでしょ?」


「普通じゃつまんねぇし。…ほら」


差し出された缶ジュースを、あたしは眉を寄せたまま受け取る。


ここはお礼を言うべきところなんだろうけど、そんな気分になれない。


「…ふんっ」


あたしは顔を背けると、フタを開けた。


「うーわ、可愛くねぇ」


柳のそんなセリフが聞こえたけど、無視。


可愛くなくて結構よ!



こくりと一口飲むと、ミルクティーの甘味が口の中に広がる。



「…元気、出たか?」



不意にそんなことを訊かれ、あたしは柳を見る。


「…へ?」


予想外の言葉に、間抜けな返事しかできなかった。


…元気?あたしが?


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