午前0時のシンデレラ

そこにあるのは、小さな観覧車。


「観覧車…で許してくれんのか?」


まさか、という驚きの表情を浮かべる柳に、あたしはコクリと頷いた。


許すも何も、あたしは泉さんのことを引っ張った柳を怒ってるわけじゃないけど。



観覧車に乗り込むと、賑やかだった空気は閉め出された。


途端に、あたしはとんでもないワガママを言ったという事実に気づく。


…もしかして、もしかしなくても。



―――密室に、二人きり?



「おいどうした?急に静かになって」


「べべべ別に!」


変に意識をしたせいか、声が上擦る。


てゆうか何!意識って何!



あたしは慌てて、観覧車の窓に張り付いた。


あたしはただ、ゆっくり動くものに乗りたいと思っただけなのに。


高い所から眺める景色はキレイかなー、とか思っただけなのに。


なのに何で、変な緊張をしなきゃいけないのよ!



ああもう、やっぱりあたし訳分かんない。


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