午前0時のシンデレラ

「……っ、やな…、」


何度も何度も角度を変えながら、柳の唇があたしに降ってくる。


呼吸することすら困難なまま、あたしは頭がぼーっとしていた。


柳の甘い吐息に、酔いしれそうになる。



けど―――…


「―――――嫌っ!」


あたしは力を振り絞って、柳を突き飛ばした。


僅かによろけた柳を、歪んだ視界で捉えた。


「……っ、あたしはっ…」


乱れた呼吸で、あたしは必死に柳に訴えた。


「あたしはっ…!ジュリアさんじゃ、ないっ…!」


溢れ出る涙で、もう柳の姿が見えない。


逆に、それでいいと思った。


「…あたしを、ジュリアさんの代わりにしないでっ…!」


…柳がどんな顔をしているのか、見たくないから。



「―――あたしを、咲良を見てよ…!!」



そう言って、あたしは部屋から飛び出した。


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