午前0時のシンデレラ
*‥‥‥‥‥
「…おい咲良。どうしたんだよ」
光の屋敷の正門。
あたしはそこから、中々一歩を踏み出せずにいた。
「怖じ気づいたのか?」
「…うるさいわね」
バカにしたように笑う光を、あたしはキッと睨んだ。
ええそうよ悪い!?…と本音を言いそうになるのを堪え、光の屋敷を見上げた。
―――柳が、ここにいる。
「…ったく。しょうがねぇな」
光のため息に、あたしは視線を屋敷から光に移した。
何がしょうがないのかと顔をしかめると、光はあたしに人差し指を向けた。
「お前は俺の部屋に来い」
「………は?」
何でここまで来て、光の部屋なんかに行かなきゃならないのよ。
「いいから、耳貸せ」
あたしは不審に思いながらも、手招きする光の近くに寄った。