午前0時のシンデレラ
耳元で囁かれる光の言葉を聞いて、あたしは目を見張る。
「…っ、な…」
「そっちのがいいだろ?今会うより」
光はあたしの腕を掴むと、ゆっくりと正面の扉を開けた。
ギィ…という音が、やけに心に響いた。
柳の心の扉を、あたしは開けることができるの…?
不安を胸に抱えたまま、あたしは屋敷へと足を踏み入れた。
―――――…暇。
あたしは光のベッドに横になると、天井を仰いだ。
この部屋のご主人様はというと、今頃世話係のスパルタ教育を受けている最中。
「………はぁ」
一人取り残されたあたしは、なにもすることがなくて、ため息しか出てこない。
…光が考えた作戦はこうだった。
ただあたしが普通に柳に会うのはつまらないし、逃げたのは柳なんだから、だったら柳から会いに来させよう、って。
夜、光は柳を部屋に呼び出す。
けど部屋で待っているのは…あたし。