午前0時のシンデレラ

そんなありきたりな作戦に、不安は覚えつつも、素直に従ったのは理由がある。


…あたしから会いに行って、拒絶されたら怖いから。


「…笑っちゃうわ」


今まで、自分から他人との関わりを拒絶してたくせに、怖いなんて。


けどそれは、きっと相手が柳だから。



勝負はきっと、夜の少しの間だけ。


言いたいこととか、訊きたいこととか、たくさんあるのに。


それでも、伝えたいことはひとつだけ。


「―――――柳…」


あたしはそっと瞼を閉じると、深い眠りに落ちていった。





「―――――…ら、咲良っ!」


耳元で名前を呼ばれ、あたしは驚いて飛び起きた。


「…や、柳っ!?」


「アホ、俺だ」


呆れ顔であたしを見下ろしていたのは、光だった。


窓の外に目を遣ると、すっかり暗くなっている。


やだあたし、どんだけ寝てたのよ!


< 180 / 200 >

この作品をシェア

pagetop