午前0時のシンデレラ
そんなありきたりな作戦に、不安は覚えつつも、素直に従ったのは理由がある。
…あたしから会いに行って、拒絶されたら怖いから。
「…笑っちゃうわ」
今まで、自分から他人との関わりを拒絶してたくせに、怖いなんて。
けどそれは、きっと相手が柳だから。
勝負はきっと、夜の少しの間だけ。
言いたいこととか、訊きたいこととか、たくさんあるのに。
それでも、伝えたいことはひとつだけ。
「―――――柳…」
あたしはそっと瞼を閉じると、深い眠りに落ちていった。
「―――――…ら、咲良っ!」
耳元で名前を呼ばれ、あたしは驚いて飛び起きた。
「…や、柳っ!?」
「アホ、俺だ」
呆れ顔であたしを見下ろしていたのは、光だった。
窓の外に目を遣ると、すっかり暗くなっている。
やだあたし、どんだけ寝てたのよ!