午前0時のシンデレラ
「はー…帰りたい」
「あきらめろ」
そんなあたしの気持ちを知らず、柳は相変わらず強引だった。
や、別に知ってほしくないけど。
相変わらずって、まだ出会って2日だけど。
いちいち自分の考えを訂正しながら、もう街中に入ってしまった車の窓から景色を眺めた。
並ぶたくさんのお店に、ビル。
忙しく行き交う人々。
それはあたしのいる世界と、ひどく別物に思えた。
何だかその景色を見たくなくて、視線を自分の足元に移す。
…今度車の窓には全部、カーテンをつけてもらおう。
そんなことを考えていると、柳が急に車を止めた。
「よし」
気づけば、車はどこかの駐車場に停車していて、柳はシートベルトを外し始めていた。
…あーあ。
これから街に出るのか…憂鬱すぎて気分が重い。
一体どこ行くんだろう?