午前0時のシンデレラ
既に車を降りた柳が、なかなか降りないあたしを催促するように、あたしの近くの窓を叩く。
そんな柳を睨んでから、あたしは仕方なくドアを開けた。
「そんな怒るなって」
「…怒ってない」
車に鍵をかけ、柳はあたしを振り返る。
車と柳が並ぶ姿が、何かモデルみたいに様になっていてむかつく。
運転下手くそなくせに。
むすっとしたままのあたしの頭を、柳は子供をあやすみたいにポンと叩いた。
「…ちょっ!何すんの!」
「何って…子守?」
「やめてよ恥ずかしい!!」
子供扱いされるほど、あたしは子供っぽくないはず。
長めに伸ばした髪は明るめに染めて、ふんわりとパーマをかけた。
化粧だってそれなりにしてるし、背も低くはないし…胸だって、たぶん人並み。
あたしだって、泉さんに釣り合うように努力してるんだから。
大人っぽくなりたいのに…この男は!