午前0時のシンデレラ

ぐりぐりと頭を撫でられ続け、あたしはイラッとして柳の手を振り払う。


「触んないでよっ」


~もう、どんな手を使ってでも屋敷に残ればよかった!


明らかに不機嫌オーラを出してるのに、柳は気にもせずあたしに構ってくる。


「ほら、車見てみろ」


「は?」


わけがわからず、つられて柳が指差す方向を見た。


その先には、さっきまで乗っていた車。


「これが何?」


そう訊いたあたしに、柳は満足そうな笑みを向けた。


「これを、カボチャの馬車だと思えばいいだろ」


―――は、い?


「…か、カボチャ?」


「そ。シンデレラが乗る、カボチャの馬車」


何でそんなに楽しそうなの。

てゆうか…


「………ぷっ」


抑えきれなくなったあたしは、思わず大声で笑った。


お腹がよじれるんじゃないかってくらい、思いっきり。


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