午前0時のシンデレラ

「カボチャの馬車って…あんたの思考、メルヘンすぎ!」


ツボに入ったのか、あたしの笑いは止まることがなくて。


そんなあたしを見る柳の顔が、どんどんひきつっていくのがわかる。


「…へぇ?」


そう言ったあとの柳の顔を見て、あたしの笑い声がピタッと止まる。


…なんか、どす黒いオーラ出てますけど。



思わず後退りしたあたしの腕を、柳が掴む。


「お嬢様は元気になったみたいだし?行きますか」


「わー嘘っ!全然元気じゃない!不機嫌!!」


「嘘つけ!人のことバカにして笑ってたじゃねぇかっ!」


何?意外と根に持つタイプなわけ!?


ぎゃあぎゃあと言い合いを繰り返しながらも、あたしは柳に引っ張られるままに進んでいく。


久しぶりに歩く街中に、少し戸惑う。


通り過ぎる人たちが、あたしのことを見ているんじゃないかって…そんな気持ちが支配する。


だからあたしは、わざと街を見ずに柳を見ていた。


< 36 / 200 >

この作品をシェア

pagetop