午前0時のシンデレラ
「カボチャの馬車って…あんたの思考、メルヘンすぎ!」
ツボに入ったのか、あたしの笑いは止まることがなくて。
そんなあたしを見る柳の顔が、どんどんひきつっていくのがわかる。
「…へぇ?」
そう言ったあとの柳の顔を見て、あたしの笑い声がピタッと止まる。
…なんか、どす黒いオーラ出てますけど。
思わず後退りしたあたしの腕を、柳が掴む。
「お嬢様は元気になったみたいだし?行きますか」
「わー嘘っ!全然元気じゃない!不機嫌!!」
「嘘つけ!人のことバカにして笑ってたじゃねぇかっ!」
何?意外と根に持つタイプなわけ!?
ぎゃあぎゃあと言い合いを繰り返しながらも、あたしは柳に引っ張られるままに進んでいく。
久しぶりに歩く街中に、少し戸惑う。
通り過ぎる人たちが、あたしのことを見ているんじゃないかって…そんな気持ちが支配する。
だからあたしは、わざと街を見ずに柳を見ていた。