午前0時のシンデレラ

…弱いなって、そう思う。


でも、あたしたちのようなお金持ちの家庭は、あまり快く思われない存在だから。



だから…何か言われそうで怖い。


あたしの顔がそんなに知られているとも思わないけど、怖いんだ。


「…い、おい!聞いてんのか?」


気づけば、柳に顔を覗き込まれていて。


「………っ!?」


驚いたあたしが半歩後ろに下がると、ガクンと身体が傾いたのがわかった。


ああ、段差に躓いたんだ。


楽観的にそう思ったと同時に、あたしの身体が力強く引っ張られた。



この時のあたしは、すごく冷静で。


とくに慌てたりもせず、倒れる覚悟でいた。

「…っぶねー。急に大人しくなったかと思えばコレか」


…のに、今の状況は…柳の、胸の中?


「ぎゃわ―――っ!!」


抱きしめられている、という事実に気づいた瞬間、とてつもない恥ずかしさがあたしを襲う。


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