午前0時のシンデレラ
ものすごい勢いで離れるあたしを、柳がポカンと口を開けて見ていた。
でもそんなことより、今は周りの視線が気になって。
「…やぁね、白昼堂々と…」
「…本当。最近の若者は…」
近くのおばさんたちがそう小声で話しているのが聞こえた途端、全身がカッと熱くなる。
~最悪、最っっっ悪!!
「あ、おい!どこ行くんだよ!」
回れ右をして、スタスタと歩くあたしの背中に、柳の声が届く。
あたしは振り返ると、柳をキッと見据えて口を開く。
「帰るの!!」
柳についてきたあたしがバカだった。
街なんかに来ても、あたしがそこに溶け込めるはずないのに。
「帰るって…、待てよ」
「やだ」
「運転はどうするわけ?」
「…適当に誰かつかまえる」
「あのなぁ…」
追ってこないでよ鬱陶しい。
…わかってるわよ。
どうせ、面倒くさいやつだって思ってるんでしょ?