午前0時のシンデレラ

柳を待っている間、あたしはショーウインドウ越しに外の様子を眺めていた。


…そのとき。


「―――あ」


思わず声を漏らしてから、慌てて視線を外から逸らす。


すぐに、お店の自動ドアが開き、「いらっしゃいませー」と定員の声が木霊する。


近くに感じた人の気配に、恐る恐る顔を上げると、


「―――よぉ、王ノ宮」


あたしが目を逸らした原因になった相手が、そこにいた。


「…何?」


ぶっきらぼうにそう言うと、相手…池田が面白くなさそうに口を尖らす。


「冷たい態度だなー…相変わらず」


相変わらず、の部分を強調すると、池田はあたしの顔を覗き込もうと身を屈ませる。


あーもう、やめてよ鬱陶しい!


「…だから、何の用なのよ」


少しだけ視線を向けて再度訊くと、池田は肩をすくませた。


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