午前0時のシンデレラ

待って。

殴られたって、誰に…



「―――うちのお嬢様、いじめないでくれます?」



あたしの瞳に映ったのは、間違いなく…あたしの、世話係だった。


「………柳、」


「無事ですか?」


「無事って、あんた何やって…」


「―――ふざけんなっ!」


そこまで言いかけたところで、池田の怒声が遮った。


池田はあたしがぞっとするほど、憎悪がこもった瞳で柳を見る。


「…ふざけんな…何すんだてめぇ」


池田に睨まれた柳は、しれっとした表情で口を開いた。


「そちらこそ、何しているんです?お嬢様のショッピングを邪魔しないでいただきたいのですが」


敬語なのに、どこか怒りが含まれる声音に気づいたのか、池田が少し口をつぐむ。


けどすぐに、池田は立ち上がると柳に一歩近づいた。



何でかわからないけど、あたしはこのとき。


―――やばいと、そう思った。


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