午前0時のシンデレラ
池田がニヤリと笑った、次の瞬間。
「―――――柳っ!! 」
左頬に鈍い痛みが走ったと同時に、あたしの身体は床に倒れ込んだ。
「お嬢様!?」
柳はあたしを抱き起こすと、左頬に触れた。
「………っ、」
ピリッとした痛みに、顔をしかめる。
柳は悲しそうに瞳を細めてから、池田を振り返った。
「俺のせいじゃねぇよ。王ノ宮のせいだろ」
「…何だと?」
池田が謝る気配もなく言った言葉に、柳が反応する。
「俺はお前を殴ろうとした。王ノ宮がお前を庇った。…だから王ノ宮を殴ったのは、俺のせいじゃない」
「……っ!」
池田に向かって行こうとした柳を、あたしは服の裾を引っ張って止めた。
眉間にしわを寄せた柳が、唇を噛んであたしを見る。
「もういいよ、柳」
「なっ、」
そこで言葉を止めた柳は、周りの状況を理解したらしい。