午前0時のシンデレラ


*‥‥‥‥‥


「あ――も―――っ!! 腹立つっ!!」


ありったけの力でそう叫ぶと、あたしは屋敷の中へと足を踏み入れた。


そのあとを、柳が苦笑しながらついてくる。


「…お嬢様、メイドが何人か驚いてますよ」


「そんなの知らないわ!あームカつく!!」


ずんずんと廊下を歩きながら、池田の態度を思い出す。


あの顔、仕草…全部ムカつく。


「お嬢様」


柳に話しかけられた時、ちょうどあたしの部屋に着いた。


「…何!」


不機嫌さを隠すことなくそう言うと、柳は真剣な表情であたしを見ていた。


その表情に、ドアノブにかけた手の動きが止まる。


「どう、したのよ」


あたしの問いに、柳は困ったように微笑んだ。


「すみません。ちゃんと護れなくて」


柳からの聞き慣れない敬語から、信じられない単語が聞こえたことに、あたしは驚く。


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