午前0時のシンデレラ
*‥‥‥‥‥
「…は―――…」
この日、あたしは何度目かわからないため息を零す。
「どうしたの?もう3回もため息ついてるけど」
泉さんが苦笑しながら、あたしにコーヒーを差し出した。
あたしのため息の数を数えていた泉さんに、何とも言えない笑みを返す。
「…あたしにも、よくわからないんです」
何で、こんなに気分が鬱なのか。
何で、胸の奥がモヤモヤしてるのか。
原因はもちろん柳なんだけど。
…問題は、何であたしが柳のことで悩まなきゃいけないのかってこと。
「うーん…」
「そんなときは、俺のスペシャルブレンド飲んでみてよ」
泉さんに勧められ、あたしはコーヒーを口に運ぶ。
こくん、と一口飲んだ瞬間に、口の中に甘みが広がった。
「………おいしい…!」
「よかった。いつもより甘くしてみたんだ」
泉さんの笑顔に、あたしの気持ちが少しだけ軽くなる。