午前0時のシンデレラ
「貼っておいた方が、すぐ治ると思うよ?…あ。でも、目立つから女の子は嫌かな」
苦笑する泉さんに、胸がきゅうっと締め付けられる。
…どうしてこんなに、優しいんだろう。
「そんなことっ…、ないです!ありがとうございます」
あたしは泉さんから湿布を受け取ると、すぐに貼ろうとした。
けど、うまく台紙から剥がれなくて。
「貸して」
湿布と奮闘するあたしから、泉さんはひょいと湿布を奪い取った。
簡単に湿布を剥がすと、泉さんはあたしの頬に優しく貼った。
「…はい、おしまい。大丈夫?痛い?」
カウンター越しに身を乗り出した泉さんが、すごく至近距離にいる。
コーヒーの甘い香りが、あたしの頭を支配していく。
「…痛く…ないです」
「よかった」
そう言うのに精一杯だったあたしに、泉さんは微笑んだ。
泉さん…泉さん。
あたし、どうしようもなく泉さんが好きです。