午前0時のシンデレラ
白い息が、森の深い緑に混じる。
言葉に出すことでしか、自分の今いる場所を確かめられない。
あたしはここにいていいんだって、わからなくなる。
「はは…」
情けなくて、寂しくて。
乾いた笑い声しか出てこない。
…あたしの居場所は、ここだよね?
泉さんの隣なんだよね?
「―――また、ここにいたのか」
ふわり、と何かが身体を包む。
…一瞬、時が止まったんじゃないかと思った。
「…………やな、ぎ」
「冷えるだろ。もっと着込めよ」
あたしの身体を覆っていたのは、一回り大きいサイズの上着。
それは、明らかに男物だった。
「………」
上手く言葉が出ない。
何とも言えない感情が、あたしの中心を渦巻いていく。
「…おい、生きてるか?」
目の前で、怪訝そうに眉をひそめた柳が腕を振った。