午前0時のシンデレラ

「あんたたちっ…、ただじゃおかないからね!」


「おー怖。そんな威勢張ってられんのも、今のうちだぜ?」


池田に掴まれていた腕が軽くなったかと思うと、一人に地面に押し倒された。


「痛っ…!」


目の前には、舌で唇をなぞる男の顔。


そのときやっと、恐怖があたしを支配した。


「い…やっ…、やだぁっ!」


「大人しくしろ。おいお前ら、腕押さえつけとけ」


どんなに足掻いても、男の力には敵わなかった。


数人の男たちの隙間から、あたしを見るその姿が映った。


「……光…」


涙で滲んだ視界の奥で、池田はただ笑った。


そして、あたしを振り返ることなく、池田は去って行った。



…悔しかった。


簡単に騙される自分が悔しくて、嫌になる。


自分の立場を利用した池田なんか、もっと嫌いだ。



どうして、普通の生活が送れないんだろう。


あたしはこの日、自分の運命を呪った―――…



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