午前0時のシンデレラ

街を離れて、しばらくはあいつも接触して来なかったのに。


「…悪い。俺のせいだよな」


急に柳が謝るから、あたしは驚いて目を見開く。


「俺が街に連れてったから…こんなことになったんだよな」


申し訳なさそうに俯く柳に、あたしはため息をついた。


「あのね、確かにあれはあんたのせいだったけど!」


あたしは椅子から立ち上がって、柳の頬をつねった。


「今話したくもない過去を話してるのも、あんたのせいだけど!」


「~いでででででっ!」


「でも…やっと、前に進める気がするの」


柳の瞳が、あたしを真っ直ぐに捉えた。


その綺麗な瞳に、あたしは笑いかける。


「悔しいけど、魔法にかけられたみたい」


「………、」


「よし!そうと決まれば行かなくちゃ!」


ぐっと握り拳をつくると、柳が口をポカンと開けた。


「…はい?」


「はい?じゃないわよ。池田に会いに行くの!」


< 92 / 200 >

この作品をシェア

pagetop