午前0時のシンデレラ
街を離れて、しばらくはあいつも接触して来なかったのに。
「…悪い。俺のせいだよな」
急に柳が謝るから、あたしは驚いて目を見開く。
「俺が街に連れてったから…こんなことになったんだよな」
申し訳なさそうに俯く柳に、あたしはため息をついた。
「あのね、確かにあれはあんたのせいだったけど!」
あたしは椅子から立ち上がって、柳の頬をつねった。
「今話したくもない過去を話してるのも、あんたのせいだけど!」
「~いでででででっ!」
「でも…やっと、前に進める気がするの」
柳の瞳が、あたしを真っ直ぐに捉えた。
その綺麗な瞳に、あたしは笑いかける。
「悔しいけど、魔法にかけられたみたい」
「………、」
「よし!そうと決まれば行かなくちゃ!」
ぐっと握り拳をつくると、柳が口をポカンと開けた。
「…はい?」
「はい?じゃないわよ。池田に会いに行くの!」