午前0時のシンデレラ
今まで逃げてばっかりだったけど。
言いたいことはたくさんあるんだから!
「あのなぁ、そんなすぐ…」
「何よ、文句あるの?」
思いきり睨み付けると、困ったように柳は首を横に振る。
「文句じゃないけどさ…」
「じゃあ黙ってなさい。あんたはあたしのそばで突っ立ってるだけで十分よ」
「…それいる意味なくね?」
柳の言葉には答えず、あたしは柳の腕を掴んで歩き出す。
もう、負けない。
あたしに手を出したこと、あいつに後悔させてやる。
意外にも柳は、黙ってあたしについてきた。
まぁ止められても無視するけど。
「…お嬢様」
再びホールに戻ると、すぐに柳が耳打ちした。
「…わかってるわ」
あたしの視線の先には、パパと話す池田の姿。
きっとあることないこと、パパに吹き込んでるんだわ。
あたしはその姿を見据えると、迷うことなく一歩を踏み出した。