大好きな君にエールを


──side*麻帆──


今、あたしの視界にはちびっコ達と楽しくキャッチボールをする、荒ちゃんの姿がある。


「ちょっと待てー、腕が少し下がってるなぁ」


ちびっコに冗談混じりでも的確に指導する姿は、本当に野球が好きなんだと伝わってくる。


寂しいなんて思ってる場合じゃない。あたしも頑張んなきゃね。


中学の時よりも肌の色が焼けた荒ちゃん。野球を頑張ってる証だよね。


髪が前よりも短くなった荒ちゃん。野球が好きな証拠だよね。


あたしはケータイを取り出し、心の中で謝りながら荒ちゃんを盗撮。だって、格好良すぎるもん。


シャッター音に気づかない荒ちゃんは熱心に、でも優しく、ちびっコ達と楽しくキャッチボールをしていた。



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