大好きな君にエールを
────……そして練習試合当日。
「こんちゃあ!」
威勢のいい声が一瞬にして、道場に響き渡った。そう、南原高校の剣道部だ。
「こんにちは!!」
圧倒したあたし達だったが、負けじと南原に挨拶を返した。
挨拶からが違う。あたしは脳内で密かに南原の挨拶と自分の挨拶を分析していた。すると隣にいた栞先輩がボソッと言った。
「南原高校の良いところをじゃんじゃん盗むんだよ」
盗む、とは奪うものじゃない。あたし達の用語では見習うなんだ。
相手の良いところを尊重し、自分達と少し比較してみる。そして、欠けているところを見習うんだ。
「まぁ料理と同じ。材料が無いと料理は作れない。だから剣道も一緒。基礎基本や技術、相手の分析が料理で言ゔ材料゙になるんじゃない?」