大好きな君にエールを
「勝者、南原高校」
審判があたしでない南原高校側に旗をあげた。
「…あさぽん惜しかったね」
藍が寂しい笑顔であたしに声をかけた。
「…速すぎる」
「え?」
「南原…速すぎるよ」
追い付けなかった。目で追えないほど…素早い打ちだった。あたしなんかとても敵うような相手じゃなかった。
────…
それからの練習試合は覚えていない。負けたのがショックなのか、南原の実力に怯えていたのかわからない。
だけど…あたしは剣道を見たくなかった。
「ありがとざいました!!お疲れっしたっ」
挨拶をして道場を去っていった、南原高校女子剣道部。その後ろ姿は凛とした姿だった。
見たくない、とあたしは顔を背けた。